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「転倒」

桜も満開、ようやく春めいて来ました。

四月に入り新生活をスタートさせた方も多いと思います。

慣れない日常生活動作でのトラブルは付き物ですが

今回のブログは、寝たきりになる確率が高い

高齢者の「転倒」について

お話したいと思います。

 

高齢者の介護が必要になった主な原因は「骨折・転倒」が全体の13.0%を占めています。

高齢者が救急搬送された事故発生時の動作は、平成27年からの5年間で「ころぶ」事故が80%以上を占めていて

多くの高齢者が「ころぶ」事故で医療機関に救急搬送されています。

 

転倒による影響は「頭部外傷」「骨折を機に急速に身体機能が悪化」「外傷を機に転倒後症候群をきたす」

「外傷を機に抱えていた病気が悪化」などさまざまで、健康寿命を延伸するためにも転倒予防は極めて重要で

実際に転倒をきっかけに介護付有料老人ホームへの入居を検討されるケースも少なくありません。

自宅で転倒して足を骨折し退院後、段差がある自宅は危険なのでホームへ入居したり

転倒時に頭部を打ち硬膜下血腫になり入院し養療中に認知症になりホームへ入居したケース等様々です。

この様な転倒の要因は「内的要因」と「外的要因」の二つがあります。

「内的要因」は、筋力の低下や感覚の低下、バランスの低下、視力の低下、聴覚の低下などの「加齢性変化」や

起立性低血圧、不整脈、脳梗塞、パーキンソン病、認知症、めまい、変形性関節症、痛み、肥満・やせなどの「身体要因」

降圧剤、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などの「薬の影響」などがあります。

 

高齢者が日常生活で多くの時間を過ごす座位(座った状態)は上記の要因影響が姿勢に表れます。

椅子に座った姿勢で側面から見た姿勢が耳・肩・臀部が直線になっているか?

正面から見た姿勢が耳・肩・腰が平行になっているか、傾きが無いか?が重要なポイントになります。

 

高齢者は加齢とともに、体を動かしている時間よりも

臥位(寝た状態)や座位で過ごす時間が多くなることが

転倒原因になっていると考えられるため

「1日の起床時間、臥床時間のリズムを整え、習慣化する」

「ずっと同じ姿勢は避ける(寝っぱなし、座りっぱなし)」

「寝床(ベッドや布団)から突然起き上がらない(急な動作を避ける)」

「体を動かすには、脳と体の目覚めが大切(着替える、顔を洗う、朝の体操をする

部屋を明るくする、日光を浴びる、朝ごはんを食べる)」

など、日常での活動度(質や量)を考慮することもポイントです。

 

「外的要因」は、住居での環境が関わってきます。

高齢者の「転ぶ」事故の発生場所は

一位 居室・寝室

二位 玄関・勝手口

三位 廊下・縁側・通路

四位 トイレ・洗面所

五位 台所・調理場ダイニング・食堂

「1.居室・寝室」での事故が一番多く、カーペットのわずかな段差や、配線コードやごみ箱

歩く導線が複雑など、目立ちにくい軽微な段差や障害物等が転倒の要因になります。

整理整頓やレイアウトの見直し、手すりの設置などの対策が大切な一方で

住み慣れた環境を大きく変えると転倒の危険性も高くなります。

自分の体を安全に動かすことができる環境を自分自身で確認し、決めることが大切です。

以上、高齢者の転倒要因についてでしたが、決して高齢者に限らず

若年層にも身の回りの生活環境整理(整理整頓)は、ケガの予防に繋がります。

次回は、「転倒予防」について話したいと思います。

※東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」から                narita